勉強して知識を身につけ、自力でバリバリと、組織改革や
新規事業を進めているのに、
何故か思い通りに進まない。
いや、逆に
「間違った方法をやってしまっているのではないか?」
という
不安とあせりを持ちながら経営を行っている。
そんな感覚を、二代目社長であるあなたはお持ちではないでしょうか?
一度歯車が狂ってしまうと、
それを挽回しようと"1人で頑張ってしまう"。
しかし、頑張れば頑張るほど、社員との距離は開いてしまい・・・。
1、3ステップとは
就任したばかりの二代目経営者の悩みに、古参社員との関係性があることでしょう。なか なか変わってくれない社員や信頼してもらえない社員を見て、二代目社長がまず思うこと は「自分の理解者を採用しよう!」が多いものです。社内に理解者がいなければ、外から 自分を理解してくれる人を採用し、会社を変えていこうとするのは自然な流れでしょう。
確かに、経営者の信頼できる理解者を増やすという組織変革は大切です。
ただし、就任したばかりで採用した理解者候補は、恐らく大半が数年で社長のもとから離
れてしまうでしょう。その理由は、採用した新入社員が現場にやられてしまうからです。
社長が常に現場にいて、採用した社員を常に見守っているならば話は別ですが、そのよう
なことは、多忙の社長であれば難しいでしょう。そこで起きることは、社長が目を離して
いるうちに、新入社員が、既存社員の批判の嵐に襲われてしまうということです。
これは当然の流れです。既存社員からしてみれば、まだ信頼しきれない二代目経営者が連 れてきた新入社員は恐怖でしかありません。 いわゆる『社長の親衛隊』に見えてしまうのです。 そのため、社内で排除しようとする動きがどうしても生まれます。 結果、理解者を作ろうと採用をしても皆が辞めていき、経営者はまた一人になってしまうのです。 まずは、古参社員との信頼関係を勝ち取らなければ、組織は変わりません。
先代社長より代表権を権限委譲された際に、多くの二代目経営者の方は、先代経営者と距
離を取ろうとします。委譲後も、先代の影が社内でちらつくことが多く、先代経営者も最
初はなにかとアドバイスをしてきます。こうなると、二代目社長は、先代経営者との接触
を減らしながら、少しずつ距離を置き始めるのです。
これは、二代目社長に特有の責任感の強さとプライドから来るものですが、当然ながら、
先代経営者との関係性が良好な企業の方が、経営はスムーズにいきます。先代経営者が口
うるさいのは、もちろん親心から来るものだからです。
しかし、先代経営者との関係性が良くないまま決別すると、社長と会長という双頭体制が
生まれます。事業継承時は、影響力はまだ先代経営者にあります。だから、二代目経営者
のやりづらさは増すばかりです。
権限委譲されたタイミングで二代目経営者は、先代経営者と役割分担を明確にし、良質な
関係を築くことが事業を進めるポイントなのです。
ビジネスの基本は、成功事例を真似ることです。
この考え方があるので、勉強熱心な二代目経営者の方は、代表権の移行前より他社の事例をセミナーや勉強会に参加して学んでいる傾向があります。
しかし、いざ成功ノウハウを導入しても、社内で実行されないという悩みにぶつかります。
経営者は、セミナー等でそのノウハウの良さを理解しているため「実行する目的」が明確ですが、社員からすれば、なぜそれが必要なのか、いったいどのような効果があるのかが全くわからず、「また社長が新しいものを持ってきた・・・」と思ってしまうのです。
結果、社内で実行されないため、経営者はまた新しいノウハウを導入するものの、それもまた実行されない状態が続きます。
いつの間にか「社長が導入するものは実行しないもの」とのレッテルが貼られてしまい、こうなれば、誰ももう動いてくれません。
まずは、成功ノウハウをしっかり実行させる力を社内に身につけることが重要なのです。
力のある経営者ほどやりがちなことが、社員を効率的に動いてもらおうと、仕組みやルールを設けるという取り組みです。
例えばマニュアルを徹底的に作り込み、そのマニュアルの習得度合いを視覚化することで、社員各自に成長を促す方法があります。
作り込まれたマニュアル通りに社員が動くことによって、間違いなく効率的に仕事ができ、一時的に業績が伸びることもあるかと思います。
ただし、行き過ぎた仕組みは社員の自発性を奪います。
仕組みというのは、言うなれば会社が作った「強制的に走ることを決められたレール」です。
仕組みとは「絶対にこの通りにやれ!」という指示と捉えられやすく、社員が能動的に動くよりも、仕組みやルールで行動を縛る行為になりえるのです。
だから「仕組みを守れ!」と言いながら、社員のやる気を引き出したいということは、そもそも真逆のことを言っているということがお分かりでしょうか?
トップダウンで作られた仕組みやルールが多ければ多いほど、社員はやらされ感になり、業務をこなすだけのロボットと化してしまいます。
組織として団結して成果を上げるということはなくなり、少し景気や会社の状況が変われば、社員はすぐに辞めてしまうという危険性も高まってくるのです。
よく経営者が、経営幹部から提案を受けやすいのが「評価制度」の話です。
離職が多い会社では、その主な理由として「適切に評価されていない気がする」という意見が上がります。
その声を何度も聞くと、経営者は早急に評価制度を導入したくなります。
ところが、評価制度は、会社の状況が悪い時に導入すると、社員の不満を増幅させてしまいます。
会社の状況の悪化は、社内の関係性の悪さを示しています。
つまり、社内でのコミュニケーションが上手く図れていない場合が多いのです。
その時に評価制度を導入するとどうなるでしょうか?
上司が部下を何点と評価をする際に、部下の社員からは「あんな上司に評価されたくない」という意見が上がってくるのです。
もしくは、同期の社員と比べて「自分の方が頑張っているのに!」と自暴自棄を生み出すきっかけになってしまうこともあります。
だから評価制度を導入する前に、まずは社内の人間関係を良好にすることが先決なのです。
売上がなかなか伸びない時に、社員の士気をあげようとインセンティブを出す方がいます。
ところが、これは大きな間違いです。
インセンティブ制度は、売上に悩んでいる時に導入すると大きく失敗する可能性が高いのです。
確かに最初の1、2 回は、社員もやる気を出し、頑張るかもしれません。
目標達成をする社員や店舗もあるでしょう。しかしその後、社員は“ちゃんと”やる気を失ってくれます。
その理由は、「応急処置的」だからです。
「努力分の報酬」と言えば聞こえはよいですが、結局は「お金で釣っている」という状況に社員からは見えてしまいます。
社員からしてみれば、インセンティブは「金でやる気を出してくれるんだろう?」という経営者のメッセージとして伝わってしまう場合もあるのです。
そのため、次第に社員は「何のために働いているのか?」の目的が見えなくなり、次々とやる気を失っていきます。
もし、お金をかざすことで社員のやる気を引き出したいのであれば、始めから完全歩合制の会社の方が効果的です。
しかし、完全歩合制では当然ながら離職率は上がるため、ノウハウや顧客離れが大きくなることはご了承ください。
そして、もし歩合制ではなく社員の自発性を尊重する経営をしたいのであれば、まずは「目的の共有」から始めた方がいいでしょう。
「なぜその目標を追うのか?」という目的が明確ではないから、目標だけで頑張らせてしまっている企業は驚くほど多いです。
売上を上げたいからこそスキル研修や部下へのマネジメント研修を管理者向けに受けさせる場合があります。
これも大きく失敗する可能性が高いです。
残念ながら、一時的にやる気を上げる研修を受けさせても、また上手く機能しない場合が多いのです。
研修を否定するわけではありません。
しかし社内の状況が上手くいっていない中で、このような研修を受けると、社内に混乱が訪れやすいということです。
研修を受けた管理者は一時的には盛り上がり、社内で意見や提案を上げるものの2 週間も経過すれば、しっかり元通りになります。
なぜなら、「全ての答えは現場にある」からです。日々の日常が社員や管理職の状態を左右します。
そのため、現場を変えられなければ、どんな研修を受けようと効果は薄いのです。
また、信頼できる社員がいない中で「マインド研修」を受けさせることも非常に危険です。
研修を間違って受け取り、辞めて独立するか、御社を見切ってしまう可能性があります。
なぜなら、研修を受けて、自分のやりたいことを見つかった時に、ある一部の会社様では、社員の方が気付いてしまうのです。
「今の会社では、自分がやりたいことが実現できない」と。
そして、優秀な人材から辞めてしまう可能性が高いのですだから、まず経営者と管理職との信頼関係の構築と、管理職の貴社への帰属意識・愛社精神を高めることが最優先です。
結果を出している人が、上の役職に立つことはよくあることです。
経営者側からしてみれば、数字を出せる人が社内のマネジメントをした方が、その部下も数字を出せると考えるのは自然な流れでしょう。
しかし、実際には、稼げるだけの社員が管理職の立場につくと、途端に社内に異変が生じます。
これまで大切にしてきた社内の文化や考え方が崩壊し始めるのです。
いわゆる「俺がルールだ」状態です。会社の方針や決まりごとを、経営者の前では守るものの、裏で不平不満を言い、それを部下に伝えることが多くなっていきます。
部下の社員からしてみれば、会社の方針と稼げる上司の方針とのズレに悩み始めてしまいます。
いつの間にか、会社に不信感を持つ社員が溢れ、離職が増えていきます。
そして、その稼げる管理職は残ってくれるかというと、そうではありません。
都合が悪くなれば、途端に手のひらを返すように離れていってしまうのも、この層です。
大切なことは、会社の理念やビジョン・方針に共感してくれているかどうかです。
その後に、スキルが必要になります。順番が逆になれば、社員は次々に疲弊していきます。
社員や経営幹部は、意見や評論は言うものの、なかなか決定はしてくれません。
そのため、経営者が全て決めてしまうことも中小企業の会議の場では多発します。
経営者は、ご自身が決めた決定事項に高揚感を持ちながら会議を終了するのですが、せっかく決めたものでも数日たっても実行されず、気付けば決定した事実でさえ、なかったことにされている場合もあります。
その理由は、会議終了後に行われる「タバコ部屋会議」にあります。
社員からしてみれば、「結局、社長が勝手に決めた」と感じてしまい、会議終了後にタバコ部屋にて「ぶっちゃけどうよ?さっきの会議。」のような本当の会議が始まっているのが現状です。
つまり、会議終了直後より、「やらない」という決断が会議参加者の間で決定してしまっているのですが、それを唯一知らないのは、経営者だけということはよくあることです。
だから経営者がまずすべきことは、ご自身が決定するのではなく、幹部に納得してもらうことなのです。
退職者面談は、経営者にとって最も辛い場面の一つと言えます。
せっかく自分の会社に入社を決めてくれた社員が目の前で離れていく光景は、心をえぐられるような感覚に近いでしょう。
もちろん、引きとめようとする経営者も多いかと思いますが、実際に退職理由を聞いて、「仕方がない」とあきらめる方がほとんどです。
よく、退職希望者は「家族の体調が悪くて実家に帰らないといけない」という家庭的な事情や、「自分の体が病弱で、一度休養を取ろうと思っている」という自身の体調の事情、または「新しくやりたいことを見つけました!」という次なるステージに行きたいという事情を上げられることが多いのです。
しかし、この理由のほとんどは、嘘とは言わないまでも表面的な理由に過ぎません。
引き止められないように、それ相応の理由を作っているだけの場合が非常に多いのです。
これは、嫌いな異性からデートに誘われた際に使う断り文句に似ています。
「最近忙しくて・・・」「本当は行きたいんだけど、体調が悪くて・・・」などと、「あなたが嫌いだからです!」という本当の理由は言わず、諦められるのを待っているのが大半でしょう。
退職者面談で、似たものを感じているとしたら、きっとあなたも、社員の本当の退職を知らないまま、退職の許可を出してしまっている可能性が高いです。その場合、たいていの問題は、社内の人間関係に原因があります。
まずは、その退職希望の社員の社内の人間関係を見てあげてください。
日本の企業のほとんどは中小企業で、そのほとんどはファミリー企業。なのに中小企業の経営者に向けた情報は少ないと思う。
創業者の想い、社員の想い、読んでてなるほどなあと思う内容だった。
自分としては事業を引き継いでもらいたいと考える創業者の人にも読んで欲しい本だと思います。
『必ず陥る勘違い』のタイトルが気になって読みました。
私も先代社長から引き継いだばかりの2代目経営者ですが、絶対良いと思って取り組んだ事が、社員からは、あらぬ誤解を生んでいたりと、
「何でこんなことが、スムーズにできない?」と腹が立つことが多々ありました。
この本を読んで、ちょっとだけですが、課題が見えた気がしました。まず私のスタンスを変える必要がありそうです。
実は社員のことを、全然知らなかったなぁというのが、最初の感想です。正直、私も「私が社長となる事で会社を潰してしまうのでは」という不安は、どっかにあり、ホンネをぶつけられてなかったかもしれません。
欲を言えばもう少し事業継承のノウハウを詳しく書いてくれると尚、良かったです。
私は、「成功ノウハウを多く導入すれば、売上が上がる!」と思ってさんざん失敗した二代目社長です。今頃、自分の失敗の理由が整理できて、なにか妙な気持ちになりました。
なりたての二代目経営者に読んでもらいたい1冊です。
古参社員との付き合い方について、もう少し具体的に書いてもらえると嬉しかった。