社長という立場で、日々社員と関わっていると、自身と社員の間にある「距離感」や「温度差」を感じる瞬間はありませんか?
例えば、ある日の会議のシーンを想像してみてください。アイディアが浮かんだ時、「こんなことをやってみたら?」と社員に提案したら、社員は無反応。口を開いたかと思えば「でも」で始まるマイナスな発言ばかり。
少し苛立ちを感じながら、自分の感情を抑えつつ、社員の成長を願って「君はどうしたらいいと思う?」と聞いても、相手は無言やアイディアもなく、言葉のキャッチボールにすらなりません。
日頃から口すっぱく「自分の成長に貪欲になってほしい」「夢を持って生きろ」「自分たちで考えてみろ」と伝えているからこそ、いつまでも変わらない社員の姿勢にがっかりしてしまうことでしょう。
それが新人や若手ならまだしも、部門のトップを担う責任者たちであれば、 「お前たちは、そんな風に働いていて楽しいのか?」と言ってしまいたくなる。
そんな感情を何度も抱いてはいないでしょうか?
先にお伝えすると、その感情を抱くこと自体は悪いことではありません。なぜなら、社員さん一人ひとりの成長をそれほど願っている証拠だからです。
「もっと成長してほしい!」「もっと楽しく働いてほしい!」と相手に期待しているからこそ、現状と理想のギャップに苦しんでしまいます。そんな社長の想いは、なぜ、社員に伝わらないのでしょうか?
実は、その理由は「社長が、立場と役割が違うはずの社員に“自分と同じ視点”で話をしている」ことにあります。
当たり前ですが、経営者は一般社員と働く状況も、経験値も、全く異なります。考えていることも、付き合う人も違いますし、これまでの苦労や挑戦が人並み以上だからこそ、現在、社長という立場を務めていらっしゃいます。
そして、社員とその家族を養うという重責を一人で抱えながら、経営されていると思います。そんな修羅場・土壇場・正念場をくぐり抜けてきた社長と、同じ視点で社員に考えてもらうということが、難しいということなのです。
それでも、社長は社員にイキイキと働いてほしいと願うからこそ、自身の考えや想いを伝えようと努力されていることでしょう。
わかってほしいから、社内の出来事や気づきを日々の会話で共有したり、外部から得た偉人の名言や参考になる記事を、あらゆる手段で社員に伝えているはずです。
「社員たちが気づくように」「あの社員の行動が変わるように」と期待を込めて発信しても、皮肉なことにその行為が、むしろ社員を迷わせてしまっているのです。
前述したように、社長と社員では視点が異なるからこそ、情報の受け取り方も変わります。そのため、社員からすれば社長の意図を理解しきれず、社長から「こうあるべき!」という正論を押し付けられた印象を持ってしまいます。
ところが、自身の発信に対する反応が薄いと、別の切り口で伝えてみようと、さらに発信し続けてしまうのです。すると、社員は社長の発信に嫌悪感すら抱き始めてしまいます。大切なことを伝えようとすればするほど、社員の気持ちが離れていきます。
これが、社長が「何度も伝えているのに、社員は変わらない」と感じる温度差の正体なのです。
つまり、社長は同じテーマについて伝えているつもりでも、社員にとっては様々なテーマの話をたくさん話されていると感じて「社長が何を考えているのかわからない」「社長はいつも言っていることが違う」という状態に陥ってしまっています。
では、どうすれば、社長の想いは社員に伝わるのかというと、解決策はいたって簡単で、「想いを、言葉に」かつシンプルにすることです。
突然ですが、「日本の国旗を描いてみてください」と言われたら、描けるでしょうか? ほとんどの日本人が日の丸の国旗を描けると思います。
では「アメリカ合衆国の国旗を描いてみてください」と言われたら、どうでしょうか?
恐らく“なんとなく描ける”人は多いと思いますが、“星の数や横線の数や色を正確に”書ける人は少ないと思います。
この違いは、私たちが日本国民であること以上に“シンプルさ”の違いです。アメリカ合衆国の国旗の配色や星の数には重要な意味があります。しかし、目に触れる機会があったアメリカの国旗が、瞬時にイメージができない理由は、一目で見た時に内容が伝わるかというどれだけシンプルにできるかに繋がっているからです。
社長の想いも一緒です。たくさん伝えようとすれば、ブレて伝わりやすくなります。社長の“本当に”大切にしてほしい価値観だけを簡潔明瞭に伝えることができれば、社員にブレることなく伝わります。
そして、社長の大切にしたいことが、社員に100%で伝われば、同じテーマとして社員は理解することができるようになります。
心の底から社長が大切にしてほしいと思える価値観こそ、企業における「理念」なのです。
「いや、理念はすでにあるけど」と思う方もいるでしょう。
では、考えてみてください。社長が社員に伝えている話は、すべて理念に基づいていますか? 別の価値観も、出ていないでしょうか?
実は、理念があるにも関わらず、社員に伝わっていないと感じる経営者の共通点は「理念に対して、社長自身が納得と共感をしていない」ことにあるのです。その理念が“大切にしたいことのうちの一つ”だからこそ、社員に伝える時に、別の話で補足をしてしまっています。残念ながら、それでは社員に伝わりません。
もし、社長が社員の成長を願い、日々伝えていながら、想いが浸透していないと感じるのであれば、まずは社長が「これだ!」と確信を持てる理念として、自分の想いを言語化することが必要です。
株式会社ソリューションは、社員一人ひとりが大切にしたい価値観を軸に、共通の目的や目標に向かって、改善を重ねながら成果を出せる「自律型組織」をつくる組織変革コンサルティング会社です。
社長が大切にしたい本当の価値観を自分で気づけるまでのお手伝いと、その価値観を社内へ浸透させるための伝え方をサポートします。なんとなくといった言語化ではなく、大切にしたい価値観が降りてくる感覚を得られ、早く社員に伝えていきたいという気持ちに変わった自身と出逢うことができるでしょう。
ぜひ、その一歩を踏み出したいという想いをお持ちであれば、お気軽に問い合わせください。
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