実行力を生む組織づくり編_濱川さん編

Q.社長が現場を離れられる会社にするには、どうしたら?

全く現場から離れられません。祖父の代から続いたレストランを継いで6年目。

うまく代替わりができたと自負しています。

そして、私がいなくても現場が回ると信じ、商工会議所の理事に就任しました。 

ただ、商工会議所の仲間から聞こえてきた声は、当社のサービスが悪いというウワサ。

地元のハレの場を演出してきた当社としては、致命的なウワサです。

急いで現場に戻り、いま、立て直しを図っているのですが、なかなかスタッフが育たず、結局、現場から離れることができません。

社員は良い人に恵まれているのですが、全く学びがないのです。

どうすれば、社長が現場を離れられる会社になるのでしょうか?

(群馬県 経営者(創業者) 業種:飲食店 従業員数:未記入)

 

(※表記や改行などを編集部で若干変えております。ご了承ください)

A.社長が現場を離れられない状況を打破するために、まずはそこで働く「誇り」を取り戻して差上げてください。

 

ご質問いただき、ありがとうございます。
今回も東京拠点の濱川が回答させていただきます。

 

耳が痛い話を聴き、それを受け容れることは容易ではないと思いますが、お爺様の代から営まれ、地元のハレの場を演出されてきた貴社だからこそ、サービスの悪さに関する厳しいお言葉は、周りの方からの期待の表れではないかと思います。

 

さて、私が一番あなたとお話してみたいなと思うことは、あなたの、このレストランに対する【誇り】についてです。

 

 

お爺様の代から営まれていたのであれば、きっと、幼少の頃から、レストランへは遊びに行かれていることでしょう。

 

そのとき、当時の社員様は、常連のお客様にどんな言葉をかけられていましたか?

どんなシーンを演出されていらっしゃいましたか?

働くコックさんやウェイターさんとはどんな関わりをされていましたか?

あなたの友人や地域の人にとってのレストランはどんな存在でしたか?

お爺様やお父様は、社員様に何を伝えていましたか?

 

・・・どうでしょう?思い出していただけましたか?

 

あなたのご質問から、あなたにも、社員の皆様にも必要なことは、具体的な接客スキル云々ではなく、

 

お爺様の代から、地元のハレの場を演出されてこられたという地域から愛され続けてきたレストランとしての【誇り】を取り戻すことではないではないかと私は感じ受けました。

 

きっと商工会議所の仲間の皆様も、あなたのレストランに行ったことがおありなのでしょうし、もしかしたら、古くから通われている常連さんもいらっしゃるかもしれませんね。

 

 

いま、あなたが致命的なウワサと捉えられていらっしゃる『サービスが悪い』という言葉は、恐らくお客様から、貴社のお客様に対する【姿勢】を問われているのだと思います。

 

そして、あなたが現場に戻り、立て直しをされているということに関して、どのような取り組みをされているのかは分かりかねますが、

 

【姿勢】を改める必要があるのであれば、スタッフさんに1番に伝えた方がいいと思うことは、具体的な接客についての指導ではなく、

いかに自分たちのレストランが、地元の方たちから愛され続けているのか?

 

がわかるたくさんの“エピソード”です。

 

 

そして、もう1つ。

 

あなた自身がどんな誇りを持ち、何を使命に、レストランを経営していきたいのか?という“想い”が伝わることが、大切ではないでしょうか?

 

そのエピソードや想いを伝えていたら、きっと社員さんは、自然にレストランへの誇り、自分自身の仕事への誇りを思い出し、自ら考え、動いていかれるようになるのではないかと感じました。

 

あなたが、「社員は良い人に恵まれている」とおっしゃられているのですから、

 

きっと、仕事に対する“誇り”や“想い”を思い出す、もしくは知るだけで、安心して現場を任せられるほどに自律して動いていかれるのではないかと思います。

 

 

ただ1つだけ、気になることがあります。

 

それは、あなたがおっしゃる、スタッフさんにとって必要な「学び」とは何なのだろう?ということです。

 

 

どんな仕事でも、同じではないかと思いますが、私は、社員に必要な学びとは、「お客様の声に真摯に耳を傾けること」だと思っています。

 

これ以上の学びはないと考えているほどです。

 

あなたが、スタッフさんにとって必要な「学び」を何だと思われているのかは分かりませんが、私は、まずはあなた自身が改めて、お客様の声を聴いてみることが重要ではないかなと思います。

 

ウワサを耳にされたいま、ちょっと躊躇したくなる気持ちもあるかもしれませんし、実際に聴いてみたら、苦言も多いかもしれません。

 

ただ、仮にそうであったとしても、その苦言は、きっと以前には【できていた】ことが【できなくなっている】ことへのお客様の悲しみの気持ちが表れているだけだと思いますよ。

 

 

また、お客様の声を聴くうちに、もしかしたら、いまのあなたにとっては予想外のレストランの改善点が見えてくるかもしれませんし、いまご自身では自覚されていない、お客様にとってのレストランのよさや期待していることが見えてくるかもしれません。

 

そういう意味では、お客様の声に耳を傾けることによって、これからの経営においてのヒントすら見えてくるでしょう。

 

 

そして、お客様からいただいた声を、社員の皆様に届けてください。

 

その声から、自分たちが期待されていることに気づき、自分たちの存在に誇りを感じることができれば、「もっと!」とより良くしていくことに貪欲になられていくと思いますよ。

 

 

また、あなたが商工会議所の理事をされるのも、意志があってのことだと思いますし、ただ現場を抜けたいということが目的ではないはずです。

 

肝心な【目的】が社員の皆さまには伝わっていないのではないでしょうか?

 

それを伝えたら、もしかしたらまた状況は変わってくるかもしれませんよ。

 

・誇りを思い出せるようなエピソードや想いを社員様に伝えること
・お客様の声を聴き、社員様に伝えること
・理事をされる目的を社員様に伝えること

 

今回は、大きく3点をお伝えさせていただきましたが、焦らずに一歩ずつ進んでみてください。

 

1つずつ、実行する中で、あなたにとっても大切な何かが思い出されるはずです。

 

ご質問いただき、ありがとうございました。 

 

統括マネジャー 組織人事コンサルタント濱川 桃子(はまかわ ももこ)

2009年、新卒社員として株式会社ソリューションに入社。入社直後からトップ営業マンとして同社で活躍し、後継経営者様を中心にクライアント企業様の組織作りに従事する。
2013年には福岡拠点の立ち上げメンバーに選抜され、たった1人で福岡拠点を軌道に乗せることに成功し、7名の社員を受け入れ、達成し続ける拠点運営を確立した。
その後、本社配属され営業企画として同社のサービス体系・仕組みづくりに注力している。

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