社員が社内ツールを活用できない・・・
2023/01/10
経営者は、会社の未来を示すことが役割だと思いますが、その伝え方について、アドバイスがほしいです。
10年前に父から会社を継ぎ、もっと会社を良くしたいという一心で理念・行動規範・ビジョンを示しましたが、多くの改革をしすぎたのか、突然「社長についていけない」と社員から言われ、気づいたら半分以上の社員が辞めていきました。
自分自身の伝え方においても、反省することがあったので、今の社員に対してはやっていきたいことがあったとしても、いきなり伝えることはせず、少しずつ気づいてもらうように心がけています。
しかし、まだまだやりたいことは頭の中に溢れているため、それで本当にいいのか・・・という迷いも生じています。
どんな伝え方をしていけば、改革も進み、社員も疲れずにきちんと伝えることができるでしょうか。
(東京都 経営者 業種:板金塗装 従業員数:15名)
(※表記や改行などを編集部で若干変えております。ご了承ください)
ご質問いただき、ありがとうございます。東京拠点の濱川です。
2代目経営者ならではのお悩みですね。
まず、あなたが社内改革をスムーズにしていくために、もし、ご自身の【伝え方】を反省されているとしたら、残念ながら、そこを改善しただけでは、また同じようなことが起こってしまいそうだなと感じました。
10年前、半分以上の社員様が辞めてしまったということで、想像するに、あなたにとってこの出来事は社員とコミュニケーションを取る上で、一種のトラウマのようになってしまっているのではないかと思います。
また、会社を継いで10年が経った今でも、社員に対して、気を遣われている様子が文面から伝わってきたので、社員とコミュニケーションする際は、今も探り探りな状態なのかな・・・とも思いました。
きっと当時の経験から、ご自身の「コミュニケーション」に対して、何かしらの課題を感じられているのではないでしょうか?
そのため、社員に対する【伝え方】に目が向いてしまっているのだろうと想像します。
しかし、少し考えてみてください。
あなたが、かつて行なった理念・ビジョン・行動規範を示すという改革によって、半数以上の社員が辞めてしまったということですが、本当にそれが理由なのでしょうか?
私は、それだけで、半分以上の社員が辞めたということは、さすがにないのではないかなと思います。
あなたにとって、きっと様々な改革を実行したことは、会社を思っての行動だったのだと思いますし、それ自体はとても素晴らしいことです。
ただ、社員から「社長についていけない」という言葉が出てきたということは「その改革自体に負担を感じたから」という理由ではないと思いますよ。
では、何が原因だったのかと言えば、改革自体がどうこうというより、恐らく、経営者として会社を引き継ぎ、次々と改革をされるあなたに対して、
社員からすれば「社長は、これまで自分たちが頑張ってきたものを全て【否定】したり、現場の状況を無視するような【正論】ばかりを言う」と感じてしまったことが原因だったのではないでしょうか。
実は、新しい試みや伝えたいことがたくさんある時は、その内容や量以上に、社員の声を“聴く”ということがポイントになります。
なぜなら、その改革に応じて動く社員一人ひとりにも、想いや考えがあるからこそ、それを聴かずに新たな試みばかりを指示してしまえば、社員の立場からすると自分たちの想いや考えが“無視された”と感じるからです。
つまり、失礼な書き方をすると、あなたのことが【嫌い】になってしまったからこそ「社長についていけない」という言葉が、社員の口から出てきたんだろうなと思います。
これは【伝え方】の問題というよりも、どれだけ「社員の声に耳を傾けていたか?」という社員とあなたの人間関係の積み重ねから引き起こされたことではないでしょうか。
もしかしたら、もっと複雑な何かが絡み合っていると感じているかもしれませんが、大概の問題の本質は、非常にシンプルなものばかりです。
きっと多くの社員の判断基準は「負荷があるなら、やりたくない」ではなく、「納得がいかないから、やりたくない」のはずです。
あなたの経営者という立場から、全ての物事を考えてしまうと、社員が「やりたくない」と話した理由や言い分は、いつまでも見えてこないと思いますし、お互いに歩み寄ることもできないと思います。
まずは、そういった社員の想いを理解することが、今の状態から抜け出すための第一歩です。
少しずつ伝えるのではなく、少しずつ、社員に歩み寄ってみてください。
是非、勇気を持って!
統括マネジャー 組織人事コンサルタント濱川 桃子(はまかわ ももこ)
2009年、新卒社員として株式会社ソリューションに入社。入社直後からトップ営業マンとして同社で活躍し、後継経営者様を中心にクライアント企業様の組織作りに従事する。
2013年には福岡拠点の立ち上げメンバーに選抜され、たった1人で福岡拠点を軌道に乗せることに成功し、7名の社員を受け入れ、達成し続ける拠点運営を確立した。
その後、本社配属され営業企画として同社のサービス体系・仕組みづくりに注力している。
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